こんにちは。さいたま市の工務店、パーソナルスタイルの石田です。
家づくりのご相談をお受けする中で、「親が持っている土地に家を建てたい」「将来、親から土地をもらう予定がある」というお話を伺うことが少なくありません。
親から土地をもらえることは、家づくりにおいて心強い後押しになります。一方で、贈与税や登記手続き、家族間の関係など、事前に整理しておきたい点もいくつかあります。
今回は、親から土地をもらう際の基本的な流れと、ご夫婦で確認しておきたい注意点を、できるだけわかりやすく整理してご紹介します。

親から土地をもらうときの基本的な考え方
親から土地を無償でもらう場合、法律上は原則として「贈与」として扱われます。贈与には贈与税が関わってくるほか、名義変更の手続き、そしてご家族間での合意形成という、大きく3つの確認ポイントがあります。
まずは全体像を押さえておくことで、その後の判断がしやすくなります。

贈与と相続、どちらで土地を受け取るかによる違い
土地を引き継ぐ方法には、大きく分けて「生前贈与」と「相続」の2つがあります。
生前贈与は親が元気なうちに土地の名義を移す方法で、贈与税の対象となります。一方、相続は親が亡くなった際に発生するもので、相続税の対象です。
家づくりを近い将来に予定している場合は、土地をすぐに活用できる生前贈与を選ぶケースが多く見られますが、ご家族様の資産状況や他のご家族様との兼ね合いによって、どちらが望ましいかは個別に異なります。安易にどちらかを決めつけず、税理士などの専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
まず確認しておきたい3つのポイント
土地をもらう話が出たら、次の3点を順番に確認していくと整理しやすくなります。
・どのくらいの税金がかかる可能性があるか
・名義変更(登記)の手続きはどう進めるか
・他のご兄弟姉妹など、ご家族様との関係に影響はないか
特に最後の「家族間の関係」は見落とされがちですが、後々のトラブルにつながりやすいポイントですので、早い段階で意識しておくことが大切です。

親から土地の贈与を受けるときにかかる税金
土地の贈与を受ける際には、主に「贈与税」「登録免許税」「不動産取得税」の3つの税金がかかる可能性があります。
金額は土地の評価額や適用できる制度によって大きく変わるため、必ず最新の制度内容を確認したうえで、個別に試算することが重要です。

贈与税の基礎控除と相続時精算課税制度
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの課税方式があります。
「暦年課税」では、1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除(執筆時点で年110万円)を差し引いた額に対して課税される仕組みです。土地は評価額が高くなりやすいため、基礎控除を超える部分には一定の税率で贈与税がかかる場合があります。
もう一つの選択肢が「相続時精算課税制度」です。これは60歳以上の父母や祖父母などから、18歳以上の子や孫などへの贈与で選択できる制度で、累計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の税率がかかるとされています。2023年度の税制改正により、この制度にも年110万円の基礎控除が新設され、2024年1月以降の贈与から適用されています。
ただし、相続時精算課税制度には注意点もあります。一度選択すると、その後同じ贈与者からの贈与について暦年課税の基礎控除には戻せないとされており、また相続時に小規模宅地等の特例(土地の評価額を大きく下げられる制度)が使えなくなる場合があると説明されています。どちらの制度が有利かはご家庭の状況によって異なりますので、税理士など専門家への相談が欠かせません。
なお、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」という、現金の贈与に限って一定額まで非課税になる制度もありますが、これはあくまで「お金」の贈与を対象としたものであり、土地そのものの贈与には直接は適用されない点に注意が必要です。
両者を混同して理解されているケースもあるため、ご自身のケースがどちらに該当するか、事前にしっかり確認しておきましょう。なお、この非課税措置は2026年12月31日までの贈与が対象とされていますが、適用期限や要件は今後の制度改正によって変わる可能性があります。

登録免許税・不動産取得税にも注意
土地の名義変更には「登録免許税」がかかります。
贈与による土地の所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額に対しておおむね2.0%の税率が適用されるとされており、相続による移転登記(おおむね0.4%とされています)と比べて、税負担が大きくなりやすい点に留意が必要です。
また、土地を贈与で取得した場合には「不動産取得税」も課税対象となります(相続の場合は原則非課税とされています)。不動産取得税は本来、固定資産税評価額に税率4%を掛けて算出されますが、宅地(宅地として評価されている土地)については、2027年(令和9年)3月31日までに取得した場合、課税標準となる価格を2分の1にしたうえで、税率も3%に軽減される特例が設けられているとされています。
さらに、新築住宅とあわせて土地を取得する場合などには、追加の軽減措置が適用されるケースもありますが、適用条件や金額は土地・建物の条件によって個別に異なるため、必ず自治体や専門家に確認することをおすすめします。

名義変更(登記)の手続きの流れ
親から土地をもらう場合、法務局での「所有権移転登記」、いわゆる名義変更の手続きが必要です。この手続きを後回しにしてしまうと、住宅ローンの手続きや着工のタイミングに影響することがあるため、家づくりのスケジュールと合わせて早めに進めることが望ましいといえます。

必要書類と手続きの流れ
一般的には、まず贈与契約書を作成します。口頭の合意でも法的には有効とされていますが、後々のトラブルを防ぐためにも、書面で残しておくことをおすすめします。登記の際には、贈与する側・される側それぞれの書類(登記識別情報や印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書など)が必要になるのが一般的です。
これらの手続きは司法書士に依頼して進めるケースが多く見られます。また、贈与税が発生する場合は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの期間に、税務署へ贈与税の申告を行う必要があるとされています。申告を忘れてしまうと、後から加算税などが発生する可能性もあるため、スケジュールを把握しておくことが大切です。
住宅ローンや家づくりのスケジュールとの関係
土地の名義が親のままになっていると、住宅ローンを組む際の担保設定ができず、ローンの審査や契約手続きが進められないケースがあります。家を建てるご予定がある場合は、着工前のどのタイミングで名義変更を終えておく必要があるか、住宅会社や金融機関とすり合わせておくと安心です。
弊社にご相談いただくお客様の中にも、「土地の名義変更が終わっていないまま住宅ローンの事前審査を進めようとして、手続きの順番を調整し直した」というケースが見られます。土地の贈与と家づくりは別々の手続きに見えて、実はスケジュールが密接に関わっています。早い段階で、税理士や司法書士、住宅会社とあわせて全体の流れを確認しておくことをおすすめします。

土地をもらう前に確認しておきたい注意点
税金や登記の手続きだけでなく、土地そのものの状態やご家族様との関係についても、事前に確認しておきたいポイントがあります。これらを後回しにしてしまうと、家づくりの計画自体に影響することもあるため、できるだけ早い段階で整理しておくことをおすすめします。

土地の境界・インフラ・建築条件の確認
親が長年所有している土地の場合、境界が確定していない、もしくは隣地との越境が発生しているケースも見られます。また、上下水道やガスといったインフラの引き込み状況、用途地域による建ぺい率・容積率の制限、再建築が可能かどうかといった法規制についても、事前の確認が必要です。
地盤の状態によっては、地盤改良工事が必要になり、想定外の費用が発生する場合もあります。これらは土地を「もらう」前に確認しておくことで、その後の資金計画や設計の検討がスムーズに進みやすくなります。
兄弟姉妹との関係・将来の相続トラブルを防ぐために
ご兄弟姉妹がいらっしゃる場合、特定の方だけが生前に土地の贈与を受けることで、将来の相続の場面で「特別受益」として扱われ、遺産分割の話し合いが難しくなるケースがあるとされています。これは決して珍しいことではなく、家づくりの相談の中でも、ご夫婦が気にされている点として伺うことがあります。
こうしたトラブルを避けるためには、贈与を受ける前の段階で、ご家族様の間できちんと話し合っておくことが大切です。状況によっては、税理士や弁護士など専門家を交えて、遺言書の活用も含めて検討されるご家庭もあります。早めに話し合いの機会を持つことが、後々の安心につながります。

この記事のまとめ
親から土地をもらう際には、贈与税や登録免許税、不動産取得税といった税金の確認、法務局での名義変更の手続き、そして土地の状態やご家族様との関係の整理という、複数のステップが関わってきます。とくに不動産取得税には、宅地であれば課税標準が2分の1になる特例など、知らないと見落としがちな軽減措置もあります。
それぞれの制度は条件によって適用の可否が変わるため、「自分たちの場合はどうなるのか」を、税理士や司法書士などの専門家に確認しながら進めることが、後悔のない家づくりの第一歩になります。まずは現在の状況を整理し、わかる範囲で構いませんので、住宅会社や専門家に相談してみることをおすすめします。
※本記事は2026年6月末から7月初旬の情報です。税率や非課税限度額、適用期限などの制度は変更される場合がありますので、必ず最新の情報をご確認ください。
引用元・参照元
・国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
・国税庁「相続時精算課税制度」
・国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
・やさしい相続相談センター「2026年度税制改正による相続税・贈与税の変更点とは?」
https://koyano-cpa.gr.jp/yasashii-sozoku/column/5454/
・楽税庁ブログ「【2026年最新】相続時精算課税制度とは?メリットを専門税理士が解説」
https://www.raku-tax.co.jp/column/seisankazei/
・大東建託 土地活用ナビ「土地所有における税金(相続税・贈与税)」
https://www.kentaku.co.jp/estate/navi/column02/post_322.html
・大東建託 土地活用ナビ「土地にかかわる税金について(不動産取得税・登録免許税・印紙税編)」
https://www.kentaku.co.jp/estate/navi/column02/post_229.html
・横浜相続税相談窓口「不動産の生前贈与は税率に注意!押さえておきたい3つの税金を解説」
https://souzoku.hibiki-firm.com/seizenzouyo-zeiritu/
・相続専門税理士法人レガシィ「住宅購入資金に対する贈与税は最大1,000万円が非課税に!要件や注意点も解説」
https://legacy.ne.jp/knowledge/before/zouyo-zei/233-jyuutakukounyuushikin-saidai1500man-hikazei/
・静岡県公式ホームページ「不動産取得税を納める額(税金の計算の仕組み)」
https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/zei/kenzeigaiyou/1002337/1011901.html
・福岡県庁ホームページ「不動産取得税」
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/fudousan.html
よくある質問<FAQ>
Q1. 親から土地をもらうと、必ず贈与税はかかりますか?
A. 土地の評価額や利用する制度によって異なります。暦年課税の基礎控除(年110万円)以内であれば贈与税はかからないとされていますが、土地は評価額が高くなりやすいため、超える場合が多いのが実情です。相続時精算課税制度を選択することで、一定額まで贈与税がかからないケースもありますので、個別の試算をおすすめします。
Q2. 相続時精算課税制度を選ぶと、暦年課税には戻せませんか?
A. 一度相続時精算課税制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与については、その後暦年課税の基礎控除を使うことができなくなるとされています。慎重な検討が必要な制度ですので、税理士への相談をおすすめします。
Q3. 土地の名義変更は自分たちでもできますか?
A. 制度上は可能とされていますが、必要書類が多く、手続きにも専門知識が求められるため、司法書士に依頼するケースが一般的です。住宅ローンのスケジュールとも関わるため、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
Q4. 兄弟姉妹がいる場合、何か特別な手続きが必要ですか?
A. 法律上、必ず必要な手続きがあるわけではありませんが、将来の相続でのトラブルを避けるためにも、贈与を受ける前にご家族様で話し合っておくことが望ましいとされています。状況によっては、遺言書の活用なども選択肢になります。
Q5. 土地をもらってから家を建てるまで、どのくらいの期間を見ておけばよいですか?
A. 税務申告や登記手続き、住宅ローンの審査スケジュールなどが関わるため、ケースによって異なります。早めに住宅会社や専門家へ相談し、全体のスケジュールをすり合わせておくと安心です。
パーソナルスタイルの施工エリアについて
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