住宅ローン控除で損しないために知っておきたい4つの落とし穴
こんにちは。さいたま市を中心に家づくりのお手伝いをしている、パーソナルスタイルの石田です。
家づくりのご相談の中で、「住宅ローン控除のことをもっと早く知っておけばよかった」という声を、少なくない方からお聞きしています。
今日はその疑問に、できるだけ丁寧にお答えしていきます。
「住宅ローン控除って、年間で数十万円戻ってくるんでしょう?」──そう期待していたのに、実際の控除額が思ったよりずっと少なかった、という経験をされた方は少なくありません。
住宅ローン控除は、マイホームを購入するほとんどの方が活用できる大切な制度ですが、仕組みをきちんと理解しておかないと「なぜ少ないのか」がわからないまま終わってしまうことがあります。
この記事では、控除額が期待より少なくなりやすい代表的なパターンと、その理由をわかりやすく解説します。
事前に知っておくことで、資金計画の精度をぐっと高めることができます。

まず知っておきたい、住宅ローン控除の基本的な仕組み
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して自宅を購入・新築した場合に、一定の税額が毎年軽減される制度です。
年末時点の住宅ローン残高に控除率をかけた金額が、所得税(および一定額の住民税)から差し引かれる仕組みです。現行制度では、控除率は原則0.7%です。
たとえば、年末のローン残高が3,500万円であれば、3,500万円×0.7%=24.5万円が計算上の年間控除額になります。
ただし、これはあくまでも「計算上の上限」です。実際にいくら控除されるかは、その年の納税額によって変わります。この点が、多くの方が見落としやすいポイントです。

控除される期間と上限額は住宅の種類によって異なります
2026年入居分においても、住宅の性能によって控除対象の借入限度額が異なる制度が維持されています。省エネ性能が高いほど、借入限度額や控除期間で優遇されます。
令和8年度税制改正により、住宅ローン控除の適用期限は2030年12月31日まで5年間延長されました。
子育て世帯・若者夫婦世帯が長期優良住宅を新築した場合の借入限度額は5,000万円で、一般世帯は4,500万円、ZEH水準省エネ住宅は子育て世帯4,500万円・一般世帯3,500万円、省エネ基準適合住宅は子育て世帯4,000万円・一般世帯3,000万円とされています(いずれも控除率0.7%・控除期間13年)。
たとえば子育て世帯が長期優良住宅を新築した場合、13年間の制度上の最大控除総額は約455万円(5,000万円×0.7%×13年)となりますが、納めた税金の額が上限となるため、この金額がそのまま戻るわけではありません。

※ただし、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅については、省エネ基準適合住宅はZEH水準以上でないと控除対象外になる予定です(令和8年度税制改正大綱による方針。今後、国会審議を経て確定します)。省エネ性能と控除制度は今後ますます深く関わってきますので、家づくりの段階から確認しておくことをおすすめします。
「入居した年」の制度が適用される点に注意
住宅ローン控除は、入居した年の制度が適用されます。契約や引渡しの日ではなく、実際に居住を開始した日が基準となるため、入居のタイミングには注意が必要です。
引渡しを受けても入居が遅れた場合には、入居した年の制度が適用されます。引渡しから6ヶ月以内に入居することが要件のひとつになっていますので、スケジュールは事前に確認しておきましょう。
※本記事は執筆時点(2026年5月)の情報をもとにしています。住宅ローン控除の制度内容・借入限度額・適用要件などは、今後の税制改正によって変更される場合があります。正確な内容は国税庁の公式サイトや最寄りの税務署にてご確認ください。
控除額が「思ったより少なかった」4つのパターン
ここからが本題です。住宅ローン控除のご相談でよく見かける、「期待より少なかった」理由のパターンをまとめました。
事前に把握しておくことで、資金計画の見通しをより正確に立てることができます。
パターン① 納税額が控除額の計算結果より少ない
これがもっとも多い見落としです。住宅ローン控除は「減税」の制度であり、「キャッシュバック」の制度ではありません。
控除額は、その年に納めた「所得税+住民税」の合計額を超えては受けられません。
たとえば、所得税と住民税の合計が年間20万円しかない場合、計算上の控除額が24万円であっても、実際に受けられる控除は20万円にとどまります。
特に注意が必要なのは、次のようなケースです。
・育児休業中や時短勤務で年収が下がっている年
・扶養控除・医療費控除・生命保険料控除などをまとめて活用した年
・開業初年度など、収入が安定していない年

このような年は課税所得が小さくなり、住宅ローン控除の「受け皿」となる税額が少なくなります。
「ローン残高から計算した額」と「実際に控除される額」が一致するとは限らない、という点はしっかり押さえておきましょう。
パターン② 住民税からの控除にも上限がある
「所得税で引ききれなかった分は住民税から差し引かれる」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは正しい情報ですが、住民税にも控除の上限が設けられています。
所得税から控除しきれない額は翌年度の住民税からも控除されますが、その上限は所得税の課税総所得金額の5%、年間最大97,500円までとされています(2026年現在の一般的な要件。入居年・取得条件によって異なる場合があります)。
つまり、所得税で引ききれなかった金額が大きくても、住民税から控除できるのはその上限の範囲内にとどまります。
ローン残高が大きく、計算上の控除額が高い場合でも、実際の税負担が少ない世帯では「上限の壁」に当たりやすいため、注意が必要です。

住民税の控除は、現金が振り込まれるのではなく「翌年度の住民税が軽くなる」という形で反映されます。翌年の住民税決定通知書で確認することができます。
パターン③ 省エネ性能が低い住宅は借入限度額が小さい、または対象外になる
2026年現在、新築住宅については省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は原則として住宅ローン控除の対象外となっています(2024年の制度見直しによって適用要件が厳格化されました)。
また、省エネ基準を満たしていても、住宅の性能レベルによって借入限度額に差があります。
長期優良住宅などの高性能住宅であれば借入限度額が高く設定されますが、省エネ基準適合住宅では上限がより低いため、控除できる金額にも影響が出ます。

性能の高い住宅は控除面でも優遇される設計になっているため、家づくりの段階で住宅性能と税制の関係を合わせて理解しておくと、資金計画がより精度高くなります。
さらに、現時点で発表されている方針では、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅については、省エネ基準適合レベルでは対象外となる予定とされています。詳細は今後の国会審議等で確定しますが、住宅性能は年々より重要な選択基準になってきています。
パターン④ 借入限度額を超えた部分は控除の対象外
住宅ローンの借入額が大きくても、控除の対象となるのは制度上の「借入限度額」までです。
実際の借入額がその上限を超えている場合、超えた部分については控除の計算に含まれません。
たとえば、借入限度額が4,500万円の住宅で5,000万円のローンを組んでいたとしても、控除の計算は4,500万円を基準に行われます。
特に建築費が上昇傾向にある昨今、借入額が上限に近い、あるいは超えるケースは珍しくなくなっています。
ローン計画の段階で、適用される借入限度額と自分が受けられる控除額の見通しを試算しておくことをおすすめします。

控除を「最大限に活かす」ために確認しておきたいこと
住宅の性能区分を事前に把握する
どの性能区分に当てはまるかによって、借入限度額・控除期間・最大控除額がすべて変わってきます。
長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅など、それぞれの要件と控除内容を住宅会社と一緒に確認しておきましょう。
パーソナルスタイルでは、全棟で長期優良住宅認定の取得を標準としており、住宅ローン控除の観点からも高い性能区分が確保しやすい体制を整えています。
ただし、実際の控除額はご家族の収入・納税状況によって異なります。個別の資金計画の中でシミュレーションしていくことが大切です。

共働き世帯は「夫婦それぞれの控除」を確認する価値がある
共有名義で住宅を購入している場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
ただし、持分割合やローンの組み方(連帯債務・ペアローンなど)によって適用のされ方が変わります。詳細は税務署や税理士へのご相談をおすすめします。
特に共働きで育休・産休を挟む予定がある場合、収入の変動が控除額に影響する年が出てくることも想定に入れながら、長期的な資金計画を立てることが重要です。
初年度は確定申告が必要、2年目以降は年末調整で継続
住宅ローン控除は、入居した年の翌年2〜3月に確定申告を行うことで初年度の控除が受けられます。
2年目以降は年末調整で自動的に適用されますが、初年度の申告を忘れると控除が受けられないため注意が必要です。
必要書類(登記事項証明書・住宅ローンの年末残高証明書・源泉徴収票など)は、引渡し後に順次手元に揃います。
入居の翌年2〜3月の確定申告期間に余裕をもって対応できるよう、早めに準備しておきましょう。

本記事のまとめ
住宅ローン控除は、うまく活用すれば非常に大きな恩恵を受けられる制度です。
一方で、「計算上の最大額がそのまま受け取れる」と思い込んでいると、実際との差に驚くことがあります。
今回お伝えした4つのパターンを改めて整理します。
●納税額(所得税+住民税)が控除の計算額より少ない年は、その分しか控除されない
●住民税からの控除には年間最大97,500円を上限とする制限がある(入居時期・条件によって異なる場合があります)
●住宅の省エネ性能によって借入限度額が変わり、性能が低いと対象外になる場合もある
●ローン残高が借入限度額を超えている場合、超えた部分は控除対象外
これらを踏まえたうえで、住宅会社や税理士と一緒に「ご自身が実際に受けられる控除額の目安」を試算しておくことが、後悔のない資金計画につながります。
住宅ローン控除はあくまで資金計画の一要素ですので、月々の返済・光熱費・メンテナンス費なども含めた全体像を把握することが大切です。
家づくりには、制度面だけでなく、土地・性能・設計・資金計画など多くの判断が重なります。
何から始めればよいかわからないという方は、まずは情報を整理することからはじめてみてください。
パーソナルスタイルでは、家づくり勉強会や個別相談会を定期的に開催しており、資金計画のご相談も承っています。気になることがあれば、お気軽にお声がけください。

パーソナルスタイルの施工エリアについて
パーソナルスタイルでは、さいたま市・川口市・蕨市・越谷市・春日部市・上尾市・北本市・八潮市を中心に、家づくりのご相談を承っています。
事務所から車で1時間圏内を主な施工エリアとしており、土地探しから設計・施工・アフターサポートまで一貫してお手伝いしています。
上記エリア以外の方も、まずはお気軽にご相談ください。
家づくり勉強会・個別相談・資金計画のご相談は、HPまたはお電話からも受け付けています。オンラインでの対応も可能です。
「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、どうぞ遠慮なくお声がけください。
引用元・参照元
・国税庁「住宅借入金等特別控除(国税庁タックスアンサー No.1211)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211.htm
・国土交通省「住宅ローン減税制度について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
・総務省「個人住民税の住宅ローン控除について」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/090929.html
・公益財団法人 生命保険文化センター「住宅ローン控除について知りたい」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/688.html
・SBI新生銀行「2025年以降の住宅ローン控除(減税)は?条件や変更点を解説」
https://www.sbishinseibank.co.jp/retail/housing/column/vol35.html
・AVANTIAコラム「2026年最新版:住宅ローン控除の仕組みと最大限活用する方法」
https://avantia-g.co.jp/column/money/mortgage-deduction-how-it-works-and-how-to-maximize-2026/
・SUUMO「中古住宅(既存住宅)向け住宅ローン控除の拡充など、2026年度税制改正大綱を解説」
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/2026zeiseitaikou/
・Owner’s Vision「2026年以降の住宅ローン控除を解説|令和8年度税制改正・借入限度額・控除期間」
https://www.zeitax.jp/ownersvision/2026/05/26/
※本記事の情報は執筆時点(2026年5月末)のものです。住宅ローン控除の制度内容・借入限度額・適用要件などは、税制改正によって変更される場合があります。正確な内容は国税庁または最寄りの税務署にてご確認ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 住宅ローン控除は「税金が戻ってくる制度」ですか?
正確には、所得税(および一部の住民税)が軽減される「減税」の制度です。その年に納めた税額の範囲内で控除が適用されるため、納税額が少ない年は受けられる控除額も少なくなります。「まとまった現金が支給される制度」とは異なりますので、この点はあらかじめご理解ください。なお、給与所得者の方は確定申告後に「源泉徴収で多く納めすぎた分」が還付される場合があります。
Q2. 省エネ性能が低い住宅は、住宅ローン控除が受けられないのですか?
2026年現在、新築住宅で省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は原則として住宅ローン控除の対象外となっています(2024年の制度見直しによる)。また、現時点で発表されている方針では、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける新築住宅については、省エネ基準適合レベルもZEH水準以上でないと対象外になる予定とされています。詳細は今後の国会審議等で確定しますので、最新情報は国税庁や国土交通省の公式サイトでご確認ください。
Q3. 共働き夫婦で住宅ローンを組む場合、控除はどうなりますか?
共有名義でそれぞれがローンを組んでいる場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があります。ただし、持分割合や借入の形式(連帯債務・ペアローンなど)によって適用のされ方が異なります。個別の条件によって判断が変わりますので、税務署や税理士への確認をおすすめします。
Q4. 育休中の年は、住宅ローン控除はどうなりますか?
育児休業中で所得が少ない年は、課税される所得税が少なくなります。その年の住宅ローン控除は、納税額の範囲内での適用となるため、控除しきれない部分が出てくる場合があります。住民税からの控除も活用できますが、年間最大97,500円を上限とする制限があります(入居年・条件によって異なる場合があります)。収入変動の見通しを踏まえた資金計画を立てておくと安心です。
Q5. 住宅ローン控除の手続きで、特に忘れやすいことはありますか?
入居した年の翌年2〜3月の確定申告が必須です。税務署や国税庁のウェブサイトから手続きを行います。2年目以降は年末調整で自動的に適用されますが、初年度の申告を忘れてしまうケースが実務上もよく見られます。入居後は、登記事項証明書・住宅ローンの年末残高証明書・源泉徴収票などを早めに手元に準備しておくと、スムーズに対応できます。






