住宅ローンを申し込む前に夫婦で確認しておきたい、後悔しない4つの準備
こんにちは。さいたま市の工務店、パーソナルスタイルの石田です。
家づくりのご相談をいただく中で、「住宅ローンの審査って、何を見られているのか正直よくわからない」とおっしゃるご夫婦がとても多いです。
今回は、現場で感じてきた視点も交えながら、できるだけわかりやすく整理してみます。
「年収がそこそこあるのに、なぜか審査に不安を感じる」「転職したばかりだけど大丈夫なのかな」——住宅ローンを考えはじめると、こんな疑問がつぎつぎと出てきますよね。
審査は「年収・勤続年数・雇用形態」といった属性だけで決まるわけではありません。
実は、信用情報・健康状態・物件の担保評価・返済負担率など、見落とされやすい要因がいくつか存在します。
この記事では、属性以外の審査ポイントをひとつひとつ丁寧に解説します。
事前に知っておくだけで、後から慌てるリスクをぐっと減らすことができます。

住宅ローン審査は「属性」だけで決まらない
住宅ローンの審査というと、「年収が高ければ通る」「正社員なら安心」という印象を持つ方が多いと思います。
もちろんそれらは大切な要素です。
しかし実際には、年収や勤続年数といった「属性」はあくまで審査項目のひとつに過ぎません。
住宅ローンの審査は一般的に、事前審査(仮審査)と本審査の2段階で行われます。
事前審査では主に年収・勤続年数・借入状況などの属性情報をもとに、融資の目安が確認されます。
本審査では書類の内容がより詳細に確認されるうえ、購入する物件の担保評価や健康状態(団体信用生命保険の加入可否)なども審査の対象になります。
つまり、事前審査を通過していても、本審査で別の要因が問題になるケースがあるのです。
「事前は通ったから大丈夫」と思っていたご夫婦が、本審査で想定外の結果になる——これは決して珍しいことではありません。
属性以外にどんな要因が審査に影響するのか、大きく4つに分けて説明します。

審査に影響する「属性以外の4つの要因」
① 信用情報——過去の支払い履歴がすべて記録されている
審査において、属性と同じくらい重要なのが「信用情報」です。
信用情報とは、クレジットカードやローンの契約・支払いの履歴を管理する記録のことです。
日本には、CIC・JICC・KSCという3つの信用情報機関があります。
登録された延滞情報など注意が必要な情報は、3つの機関の間でも情報が共有される仕組みになっています。
金融機関はローン審査の際に、これらの機関に照会を行います。
スマートフォン料金の滞納やクレジットカードの支払い遅延も信用情報に記録される場合があります。
滞納が続いていた場合、審査に影響が出やすいとされています。
「スマホの料金を少し払い忘れた程度では問題ないだろう」と思う方も多いのですが、スマホ本体を分割払いしている場合は割賦(かっぷ)契約として扱われることがあり、滞納が続くと信用情報に記録が残る可能性があります。

CICやJICCでは、延滞情報は延滞が解消されてから5年間が経過するまで信用情報に残り続けるとされています。
また、延滞を解消しないかぎり事故情報は消えません。
さらに、KSC(全国銀行個人信用情報センター)では、自己破産などの官報情報は最長7年間記録される場合があります(2022年11月に登録期間が短縮されました)。
つまり、「過去のこと」と思っていた滞納が、現在の審査に影響している場合があるのです。
家づくりを検討しはじめたら、まず自分の信用情報を確認しておくことをおすすめします。
CICやJICCはオンラインや郵送などで開示請求ができます(手数料がかかります)。
② 健康状態——団信への加入可否が審査に直結する
住宅ローンには、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められます。
団信とは、ローン返済中に契約者が亡くなったり、高度障害状態になった場合に、残りのローンが保険で完済される仕組みです。
家族が住まいを失わないための大切なセーフティネットといえます。
持病がある場合や、過去に大きな病歴がある場合、通常の団信の審査に通らず、結果として住宅ローンの審査も通らないケースがあります。
これは年収や勤続年数に関係なく起こりえます。
「若いから健康の問題はないだろう」と思っていても、既往症(過去の病気の記録)の内容によっては、通常の団信に加入できない場合があります。

ただし、選択肢がないわけではありません。
引き受け基準が緩和されたワイド団信を利用する方法や、団信加入が任意となっているフラット35を利用する方法など、状況に応じた選択肢があります。
適用条件は金融機関や保険の内容によって異なりますので、健康面での不安がある方は、早めに住宅会社や金融機関に相談されることをおすすめします。
③ 物件の担保評価——借りる家そのものも審査される
住宅ローンは、購入する家を担保にして借りるお金です。
そのため、「その物件をどのくらいの価値で評価するか」という担保評価も、審査の重要な判断材料になります。
担保評価が低くなりやすい物件の例として、築年数が極端に古い物件、立地が著しく悪い物件、再建築不可物件(現在の建築基準法では建て替えができない土地に建つ物件)などが挙げられます。
こういった物件は担保価値が低く評価される場合があり、希望する金額を借りられなかったり、審査が難しくなるケースがあります。

「再建築不可物件」とは、道路との接道条件などの規制により、建て替えができない物件のことです。
価格が安いため魅力的に見えることもありますが、住宅ローンが組みにくいケースがあるため注意が必要です。
また、仮審査を通過した後も、本審査で物件の担保評価が融資希望額に対して不十分と判断されたり、本審査までの間に新たな借り入れをしてしまったりすることで、本審査に落ちてしまうケースもあります。
「仮審査OK=本審査も問題ない」とは言い切れない点を、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。
注文住宅の場合は、新築であることが基本ですので、担保評価の面では中古物件に比べて安定しやすいとされています。
ただし、土地の評価や建物の工事費が借入希望額に見合っているかどうかは、金融機関によって判断が異なる場合があります。
④ 返済負担率——他のローンがあると想定外の影響が出ることも
返済負担率とは、年収に対して年間の返済額がどのくらいの割合になるかを示す指標です。
金融機関によって基準は異なりますが、一般的には年収に対して返済総額が30〜35%程度以内に収まることが審査のひとつの目安とされる場合が多いとされています。
たとえば、代表的な長期固定型住宅ローンのフラット35では、年収400万円以上の場合は返済負担率35%以下、年収400万円未満の場合は30%以下が借入条件の目安として公表されています(個別条件により異なります)。
民間金融機関では基準が非公表のところも多いため、詳細はそれぞれの金融機関に確認することをおすすめします。
重要なのは、この計算に「住宅ローン以外の借り入れ」も含まれるという点です。
車のローン、奨学金の返済、カードローンなどが残っている場合、それらもすべて合算した上で返済負担率が計算されます。

「住宅ローンだけなら余裕で返せるはず」と思っていたのに、奨学金の残額が影響して借入可能額が思ったより少なかった——というケースは、現場でもよく耳にします。
また注文住宅の場合は、打ち合わせが進むほど仕様や見積もりが変わりやすいため、「審査を通すために最大額を借りる」という発想より、「建てた後も無理なく生活できる金額で計画する」という考え方がとても大切です。
審査前に自分でできる確認・準備のポイント
審査に臨む前に、ご夫婦で一緒に確認しておくと安心なことをまとめます。
①信用情報を事前に確認する
CICやJICCでは、ご自身の信用情報を開示請求することができます(手数料がかかります)。
過去に心当たりがある方は、家づくりの計画を本格化させる前に一度確認しておくと安心です。
②他の借り入れを整理しておく
カードローンやキャッシングの残高は、できれば整理しておくことが望ましいとされています。
ただし、複数のローンを一度に解約すると信用情報上での影響が出る場合もあるため、解約のタイミングや方法は専門家に相談することをおすすめします。

③健康面で気になることがあれば早めに相談する
団信の審査は、住宅ローン申請のタイミングで行われます。
持病や既往症がある場合は、事前に住宅会社や金融機関に相談することで、ワイド団信やフラット35など、状況に応じた選択肢を一緒に探すことができます。
④購入する物件・土地についても事前に確認する
特に土地を購入して注文住宅を建てる場合は、法規制の確認や土地の評価が金融機関の審査に影響することがあります。
「建てられると思っていたのに、審査で問題が出た」という事態を防ぐためにも、土地探しの段階から建築・不動産の専門家と一緒に進めることをおすすめします。

まずは「総額で考える」資金計画が、長い目で見た安心につながる
住宅ローン審査を通りやすくするための小手先のテクニックより、もっと大切なことがあります。
それは、建物本体だけでなく、付帯工事・諸費用・外構・家具家電・予備費まで含めた総額で資金計画を考えることです。
金融機関は、「この人が本当に無理なく返済できるか」を見ています。
審査を通過することがゴールではなく、返済が続く30年・35年を見据えた計画が本来のゴールです。

光熱費・メンテナンス費・税金・将来の教育費など、住まいを持った後にかかるコストも念頭に置いた資金計画を立てておくと、審査の場でも余裕ある姿勢で臨めるようになります。
また、注文住宅の場合は、金融機関によって審査の考え方や対応できる条件の幅が異なります。
メガバンク・地方銀行・ネット銀行・信用金庫・フラット35など、それぞれ特徴がありますので、ご自身の状況に合った金融機関を選ぶことも大切なステップです。
こうした選択を一人で進めるのは負担が大きいため、土地探し・設計・資金計画をまとめて相談できる工務店や住宅会社と早い段階から連携することが、結果的にスムーズな家づくりにつながることが多いと感じています。
本記事のまとめ
住宅ローン審査は、年収・勤続年数・雇用形態といった「属性」だけで決まるものではありません。
信用情報の履歴、健康状態(団信の加入可否)、物件の担保評価、返済負担率(他の借り入れとの合計)——これらが複合的に審査に影響する場合があります。
「自分の場合はどうなるのか」は、個別の状況によって大きく異なります。
まずは自分の信用情報を確認すること、他の借り入れ状況を整理すること、そして早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
家づくりで後悔しないためには、審査を通ることより、建てた後も安心して暮らせる計画を立てることが最優先です。
ぜひこの記事を、資金計画を考える際の参考にしていただければ幸いです。

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※本記事は2026年5月末時点の情報をもとに作成しています。住宅ローン金利・審査基準・信用情報の登録期間・補助金制度などは変更される場合があります。最新の情報は各金融機関や信用情報機関の公式情報をご確認ください。
引用元・参照元
・CIC(株式会社シー・アイ・シー)公式サイト
https://www.cic.co.jp/
・JICC(株式会社日本信用情報機構)公式サイト
https://www.jicc.co.jp/
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
・住宅金融支援機構「フラット35」返済負担率に関する説明
https://www.flat35.com/
・モゲチェック「住宅ローンの返済比率は審査の重要項目」
https://mogecheck.jp/articles/show/Xpa1rDVlqQ9DqvdnjM3K
・三菱UFJ銀行「住宅ローンの理想的な返済比率の目安とは?」
https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/column/026/index.html
・株式会社アルビノ「CICの保有期限とは?JICCの異動情報はいつ消える?」(2026年2月)
https://www.albino.co.jp/cic-jicc-credit-information/
・株式会社アルビノ「KSCの信用情報が消えるのは7年?10年?」(2026年2月)
https://www.albino.co.jp/credit-information-expiry-period/
・AVANTIA「住宅ローンの仮審査で落ちる理由と対策とは?」
https://avantia-g.co.jp/column/money/mortgage-preliminary-screening/
・イーデス「住宅ローン審査が通らない驚きの理由!」
https://www.a-tm.co.jp/top/housingloan/examination/
※各URLは本記事確認時点のものです。掲載内容は変更される場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 住宅ローンの事前審査と本審査では、何が違うのですか?
A. 事前審査(仮審査)は、主に年収・勤続年数・借入状況などの属性情報をもとに、融資の可否の目安を確認するものです。本審査では書類審査がより詳細になるほか、購入する物件の担保評価や健康状態(団信の加入可否)なども審査されます。事前審査に通過しても、本審査で別の要因が問題になるケースがあるため、「仮審査OK=安心」とは言い切れない点にご注意ください。
Q2. スマホの分割払いや奨学金は審査に影響しますか?
A. 影響する可能性があります。スマートフォンの本体を分割払いにしている場合は割賦契約として扱われることがあり、滞納が続くと信用情報に記録が残る場合があります。奨学金の残債もローンの一種として返済負担率の計算に含まれることがあります。家づくりを考えはじめたら、現在の借り入れ状況を一度整理しておくことをおすすめします。
Q3. 健康状態に不安があると、住宅ローンは組めないのですか?
A. 一般的な住宅ローンでは団信(団体信用生命保険)への加入が求められ、健康状態によっては通常の団信に加入できないケースがあります。ただし、引き受け基準が緩和されたワイド団信や、団信加入が任意のフラット35など、状況に応じた選択肢があります。適用条件は金融機関や保険内容によって異なりますので、健康面での不安がある方は早めに住宅会社や金融機関にご相談ください。
Q4. 信用情報を自分で確認することはできますか?
A. できます。CIC・JICCはいずれもオンラインや郵送などで開示請求が可能です(所定の手数料がかかります)。家づくりを本格的に検討しはじめる前に、ご自身の信用情報を確認しておくと、審査に備えた準備がしやすくなります。なお、開示請求の手続きや手数料は変更される場合がありますので、各機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。
Q5. 注文住宅でも物件の担保評価は審査に影響しますか?
A. はい、影響する場合があります。注文住宅は新築であることが多いため担保評価は比較的安定しやすいとされていますが、購入する土地の評価や建物の工事費が融資希望額に見合っているかどうかも確認される場合があります。特に土地を同時に購入する場合は、土地の法規制・接道条件・地盤状況なども審査の判断材料になることがあります。土地探しの段階から建築会社と連携して進めることで、こうしたリスクを事前に把握しやすくなります。






