こんにちは。さいたま市の工務店、パーソナルスタイルの石田です。
5月1日のブログで「ナフサショック」についてお伝えしてから、約1ヶ月半が経ちました。あの記事を読んでくださった方から「その後どうなったのか気になっています」というお声を複数いただいており、今回は”途中経過レポート”としてお届けします。

「受注停止は解消されたと聞いたけど、もう安心なの?」「結局、家の値段は上がったの?」——5月の記事をお読みいただいたご夫婦から、このような疑問をいただくことが増えています。
結論から言うと、TOTO・LIXILなど主要メーカーの受注停止という”緊急局面”は収束に向かっています。ただし、それはナフサショックが終わったことを意味しません。むしろ、目に見えにくい「建材値上げの慢性化」という第二波が、住宅の総額をじわりと押し上げています。

前回の記事(2026年5月1日公開)で「ナフサショックとは何か」「なぜ住宅に影響があるのか」という基本的な背景をお伝えしました。今回はその続きとして、1ヶ月半が経過した現在地をお伝えします。まだ前回の記事をお読みでない方は、あわせてご覧いただくとより理解しやすいかと思います。
この記事では、2026年6月時点での最新の状況整理と、パーソナルスタイルが現場でどう対応しているかをお伝えします。
第一波の収束——受注停止は「ほぼ解消」へ向かっている
TOTOが6月9日に新規受注を全面再開
前回の記事でもお伝えした通り、2026年4月13日にTOTOがシステムバス・ユニットバスの新規受注を一時見合わせました。その後、4月20日から段階的な再開の準備が進められ、2026年6月8日の発表によって、6月9日から全製品の新規受注を全面再開することが正式に案内されました。TOTOは「原材料の供給見通しが立ち、安定的な製品供給の維持が可能になった」と説明しており、納期についても中東危機前の標準水準に戻すとしています。
LIXILとクリナップについてもすでに受注体制の回復が報告されており、パナソニックは6月後半の完全正常化が見込まれています。4月中旬に業界を揺るがした”受注停止”という緊急事態は、ひとまず収束へ向かっていると言えます。

この動きは、住宅建材メーカー各社や関係サプライヤーが代替原料の確保や輸送ルートの見直しに全力で取り組んできた結果です。現場に近い立場として、関係者の努力に頭が下がる思いです。
「受注再開=元どおり」ではない、という大切な視点
ただし、ここで注意が必要です。受注が再開されたことと、価格が元どおりになることは、まったく別の話です。
中東情勢はなお不安定な状況が続いており、ナフサ価格の本格的な正常化には時間を要するとみられています。受注停止という”第一波”が落ち着いた一方で、5月以降は建材価格の連鎖値上げという”第二波”が本格化しています。
「騒ぎが落ち着いたから、家づくりのコストも戻るだろう」という感覚は、残念ながら現時点では当てはまりません。

第二波の実態——建材値上げの「慢性化」が始まっている
主要メーカーの価格改定が相次いで発表
5月以降、住宅建材・設備メーカー各社が相次いで価格改定を発表しています。現時点で把握している主な動きをまとめます。
・LIXIL(2026年5月18日発表):8月3日受注分より水まわり・タイル商品を品目ごとに改定(浴室0〜19%程度・洗面化粧台5〜25%程度・トイレ9〜16%程度など)。さらに9月1日受注分より外壁・屋根を平均13%程度、10月1日受注分より住宅サッシ・ドア・インテリア建材・エクステリア等を平均13〜15%程度値上げ予定。
・永大産業:7月1日受注分より床材15%、室内ドア・キッチン・バス等10%値上げ。
・朝日ウッドテック:6月1日受注分から床材15〜20%、その他商品15%値上げ。
・朝日ウッドテック:6月1日受注分から床材15〜20%、その他商品15%値上げ。
・サンゲツ:7月1日受注分より壁装材・床材・接着剤等を18〜30%程度値上げ。
・断熱材(複数メーカー):4月〜5月出荷分より40%前後の値上げを実施済み。
・ルーフィング(屋根下地材):5月から40〜50%程度値上げ実施済み。
・塩ビ管(給排水配管):12〜20%程度値上げ実施済み。
品目によって値上げ幅は異なりますが、住宅を構成する部材の広い範囲にわたって価格上昇が続いていることがわかります。
※各社の価格改定情報は変動する場合があります。最新の状況は各メーカー公式の発表をご確認ください。

「第一波」と「第二波」で性質が異なる
前回の記事でお伝えした受注停止(第一波)は、「資材が届かない」という供給側の問題でした。今回の値上げ(第二波)は、「資材は届くが、高くなった原料コストが価格に転嫁される」という問題です。
建材メーカー各社はこれまで企業努力でコスト吸収を続けてきましたが、ナフサ価格の高騰や物流費の上昇を、もはや自社努力だけで吸収できない段階に来ています。この点は複数のメーカー発表でも言及されており、「今後さらなる原材料価格の高騰が生じた場合には追加の価格改定をお願いする可能性がある」と付記されているケースも見られます。 第一波は”緊急事態”でしたが、第二波は”慢性化”の性質を持っています。単発の危機というより、中長期にわたって続く可能性がある変化として捉えておくことが大切です。

住宅ローン金利も引き続き上昇——2026年6月の最新状況
フラット35が3.21%に——わずか2ヶ月で0.82ポイント上昇
建材コストと並行して、住宅ローン金利の動向も見逃せません。
住宅金融支援機構が提供するフラット35(借入期間21年以上・融資率9割以下の最低金利)は、2026年6月時点で3.210%となりました(住宅金融支援機構2026年6月1日発表)。これは現行制度となった2017年以降、初めて3%を超えた水準です。4月の2.49%から2ヶ月でわずか0.82ポイントという急ピッチの上昇となっており、長期固定金利の上昇傾向が続いています。

変動金利については、主要銀行の最優遇金利は0.9〜1.1%台が中心で、6月は据え置きの金融機関が多い状況です。ただし、長期金利(10年国債金利)は2026年5月末時点で2.657%と高水準になっており、固定金利には今後も上昇圧力がかかりやすい環境が続くとみられます。
※金利は月ごとに変動します。また適用条件によっても異なりますので、契約前に必ず各金融機関の最新情報をご確認ください。
建材と金利、「ダブル上昇」が家づくり予算に与える影響
建材コストの上昇と住宅ローン金利の上昇が同時に進行するのが、2026年現在の特徴です。
たとえば4,500万円を35年で借りる場合、金利が0.5%変わるだけで総返済額は500万円超の差になります(試算値。借入条件によって異なります)。さらに建材コストが上昇すれば、同じ仕様の家でも数十万〜100万円単位で総額が膨らむ可能性があります。

「様子を見ているうちに、建物費用も金利も上がっていた」というのは、今の時期に最もリアルなリスクのひとつかもしれません。これは急かしているわけではなく、ご家族様の判断材料として知っておいていただきたい事実としてお伝えしています。
パーソナルスタイルが現場で取り組んでいること
コスト上昇の影響を最小化するための取り組み
こうした状況の中で、パーソナルスタイルが現場でどう向き合っているかをお伝えします。
■調達の早期確保:
価格改定が告知されたタイミングで、できる限り早期に資材を手配・確保する動きを取っています。大手メーカーの改定スケジュールを常に把握し、改定前の価格で発注できるよう段取りを組む努力を続けています。
■長期取引業者との連携:
長く信頼関係を築いてきた業者とのつながりを活かし、急な相場変動が生じても品質を落とさずに必要な建材を確保できる体制を整えています。年間棟数を限定しているからこそ、一棟ごとの資材計画を丁寧に立てられ、必要な時期に必要なものを確保しやすい体制となっています。

■見積りの透明性と追加費用の事前説明:
建材価格が変動しやすい環境だからこそ、お見積りの時点で総額の見通しを明確にお伝えし、追加費用が生じる可能性がある場合は事前に丁寧にご説明しています。「後から想定外の金額が増えた」というご不安を防ぐことが、何より大切だと考えています。家づくりの主役はご家族様です。価格の変動があっても、判断の材料が揃った状態で進んでいただけるよう、情報の共有を徹底しています。
自然素材・塗り壁という選択肢の強み
ナフサショックで特に影響を受けているのは、断熱材(ウレタン・ポリスチレン系)・塩ビ管・ビニルクロスなど、石油化学系の建材です。
パーソナルスタイルでは標準仕様として漆喰・珪藻土などの塗り壁や無垢材を採用しています。こうした自然素材は、石油化学系素材に比べてナフサ価格の影響を受けにくい特性を持っています。結果的に、今回のナフサショックの影響を比較的抑えながら品質を守れている面があります。
「自然素材にこだわるのは美しさや健康のためだけ」と思っていましたが、原料調達の安定性という観点でも、自然素材の選択には合理的な側面があることを、今回改めて実感しています。

この記事のまとめ
2026年6月時点のナフサショックの”途中経過”を整理すると、以下のようになります。
・第一波(受注停止)はほぼ収束。TOTOが6月9日に全面再開し、他の主要メーカーも受注体制の回復が進んでいます。
・第二波(建材値上げの慢性化)は進行中。LIXIL・各床材メーカー・断熱材など、幅広い建材が価格改定を実施または予告しており、秋にかけてさらに波及する可能性があります。
・住宅ローン金利も急ピッチで上昇。フラット35は2026年6月に現行制度初の3%超えとなる3.21%となり、金利・建材コスト双方からの上昇圧力が続いています。
危機の”派手な局面”は落ち着きましたが、家づくりの総費用という観点では、むしろこれからの方が実感値として影響が出てくる段階かもしれません。
今すぐ動く必要はなくとも、「今の時期に知っておくべきことを知った上で判断する」ことが、後悔のない家づくりへの大切な一歩だと感じています。お金のこと、タイミングのこと、不安なことがあれば、個別相談や資金セミナーでお気軽にご相談ください。情報収集だけでも大歓迎です。
引用元・参照元
・TOTO株式会社「第2信:中東地域の情勢悪化に伴う製品供給への影響について」(2026年4月13日)
https://jp.toto.com/importantnews/info20260413/
・TOTO株式会社「第3信:中東地域の情勢悪化に伴う製品供給への影響について」(2026年4月15日)
https://jp.toto.com/importantnews/info20260415/
・NHK「TOTOユニットバスなどの受注 9日から全面的に再開」(2026年6月8日)
https://news.web.nhk.or.jp/newsweb/na/na-k10015144351000
・株式会社LIXIL「建材・設備機器のメーカー希望小売価格の一部改定について」(2026年5月18日)
https://www.biz-lixil.com/pdf/lixil_kakakukaitei.pdf
・日本経済新聞「フラット35、6月の最低金利3.21% 現行制度で初の3%超え」(2026年6月1日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA012N40R00C26A6000000/
・住宅金融支援機構「フラット35金利情報」(2026年6月)
https://www.flat35.com/loan/flat35/kinri.html
・「2026年6月 フラット35金利推移と最新動向」はじめての住宅ローン
https://finance.recruit.co.jp/article/f001/
・「【2026年5月最新】ナフサショックによる建材受注制限・値上げ情報まとめ」髙橋秀樹(note)
https://note.com/h_takahashi1110/n/n6f212500fc97
・「【2026年度価格改定情報】リクシル、サンゲツ、日本ペイント、ノダなど」リスのリフォーム
https://this-c.com/news/lixilpriceup202304/
・「【重要】2026年4月、8月、10月からのLIXIL製品価格改定について」千人力
https://www.senninriki.jp/blog/19116/
※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。建材価格・住宅ローン金利・各種制度は変動する場合があります。最新情報は各メーカー・金融機関の公式発表をご確認ください。
よくある質問〈FAQ〉
Q1. TOTOが受注再開したなら、ユニットバスの納期は元に戻ったのですか?
A. TOTOは2026年6月9日から新規受注を全面再開し、納期についても中東危機前の標準水準に戻すと発表しています。ただし、停止期間中に積み上がった受注がある場合、施工会社や流通業者側での調整に時間がかかる場合もあります。ご自身の計画に合わせて、担当の工務店や施工会社に具体的な納期を確認されることをおすすめします。
Q2. 建材の値上げは、いつごろ落ち着きそうですか?
A. 2026年6月時点では、主要メーカーの価格改定が秋にかけてさらに続く見通しです。中東情勢やナフサ価格の動向によっては、追加の価格改定が告知されているケースもあります。一部には2026年末以降に安定の兆しが見えるとする見方もありますが、現時点で断言できる状況ではありません。「価格が下がるのを待つ」よりも、現在の価格・制度・金利の条件を踏まえた上でご判断いただくことをおすすめします。
Q3. 変動金利を選べば、今の金利上昇の影響は受けにくいですか?
A. 2026年6月時点で変動金利の最優遇金利は0.9〜1.1%台が中心で、長期固定金利より低い水準です。ただし変動金利は、今後の政策金利の動向によって見直されることがあります。固定か変動かは一概にどちらが良いとは言えず、返済期間・ライフプラン・リスク許容度によって異なります。金融機関ごとの条件にも差があるため、複数の選択肢を比較されることをおすすめします。
Q4. 「今の時期に家を建てると損をする」という話を聞いたのですが、本当ですか?
A. 建材コストや金利が上昇している時期に建てることで総費用が増える可能性はあります。一方で、「待てば必ず条件が良くなる」とも言い切れません。過去のウッドショックやコロナ禍でも、下がるのを待っていた間に金利が上がり、結果的に総支払額が増えたというケースがありました。建材価格・金利・補助金・ご家族のライフプランを総合的に見て、”ご家族にとってのちょうどよいタイミング”を見つけることが大切です。
Q5. 自然素材や無垢材の家は、ナフサショックの影響を受けにくいのですか?
A. 完全に影響を受けないわけではありませんが、石油化学系の建材(ウレタン断熱材・塩ビ管・ビニルクロスなど)に比べると、ナフサ価格の直接的な影響を受けにくい傾向があります。漆喰・珪藻土・無垢材などの自然素材は原料の性質が異なるため、今回のナフサショックの波及が相対的に小さい面があります。ただし、輸送コストや職人の人件費など、他の要素による価格変動は自然素材にも起こりえます。
パーソナルスタイルの施工エリアについて
パーソナルスタイルは、さいたま市を中心に川口市・蕨市・越谷市・春日部市・上尾市・北本市・八潮市を主な施工エリアとしています。事務所から車で1時間圏内を目安にエリアを絞ることで、何かあった時にすぐお伺いできる体制を整えています。「建てて終わり」ではなく、長くお付き合いできる地域のパートナーでありたいと考えています。
上記エリア以外の方も、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談・お問い合わせについて
ナフサショックの影響や建材・金利の動向について、「自分たちの計画はどうなるの?」と気になっている方は、ぜひ個別相談や資金セミナーにお越しください。状況を整理するだけでも、不安が軽くなることがあります。まずは情報を集める段階から、一緒に考えさせてください。






