こんにちは。さいたま市の工務店、パーソナルスタイルの代表、石田茂城です。
土地探しをしていると、必ずと言っていいほど目にする「ハザードマップ」。
実際に確認してみて、「この土地、色がついている…」「ハザードエリアだから、この場所はやめた方がいいのかな」と、不安になった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に、さいたま市のように河川の多いエリアで土地を探していると、複数の色分けが重なって見え、余計に不安を感じてしまうこともあるかもしれません。
結論から先にお伝えすると、私たちパーソナルスタイルは「ハザードエリアだから避けましょう」とはお伝えしていません。
日本という国で暮らす以上、多くのご家庭が何らかの災害リスクエリアと無縁ではいられないのが実情だからです。
大切なのは、そのリスクを正しく知ったうえで、きちんと対策を講じること。
今回は、さいたま市のハザードエリアの実情と、後悔しないための考え方についてお話しします。

そもそも「ハザードエリア」とは何か
ハザードマップとは、大雨や地震などが発生した際に、どのエリアでどの程度の被害が想定されるかをシミュレーションし、地図上に示したものです。
代表的なものに、河川が氾濫した場合の浸水想定区域を示す「洪水ハザードマップ」、下水道の排水能力を超える大雨による浸水を示す「内水ハザードマップ」、急傾斜地などの危険性を示す「土砂災害ハザードマップ」、地盤が緩み建物が沈下・傾斜する恐れを示す「液状化危険度マップ」などがあります。

令和2年8月の宅地建物取引業法施行規則の改正により、不動産取引の際には洪水ハザードマップの説明が義務化されています。
さらにさいたま市では、令和8年4月に「雨水出水浸水想定区域図」に基づく新しい内水ハザードマップが公開され、こちらも水防法施行規則に基づく重要事項説明の対象となりました。
制度は今後も見直される可能性があるため、実際の取引時には最新の情報をご確認いただくことをおすすめします。

実は、日本の多くの地域が「ハザードエリア」に含まれている
ここで知っておいていただきたいのが、ハザードエリアは決して一部の特殊な土地だけの話ではないということです。
国土交通省の分析資料によると、洪水・土砂災害・地震(震度災害)・津波のいずれかの災害リスクエリアに住んでいる人口は、2015年時点で約8,603万人とされ、これは当時の総人口の約67.7%にあたります。
さらに将来推計では、人口減少が進む2050年においても、この割合は約70.5%まで上昇すると見込まれています。
これは2015年国勢調査などをもとにした試算であり、その後の状況によって数値が変わる可能性はありますが、少なくとも「日本に暮らす人の多くが、何らかの災害リスクエリアの中で生活している」という傾向自体は、公的な資料からも読み取れる事実です。

また、洪水の浸水想定区域に限って見ても、山梨大学・秦康範准教授の調査(2015年時点、国勢調査データに基づく)では、浸水想定区域内に住む人口は全国で約3,540万人、世帯数は約1,530万世帯にのぼり、20年前の1995年と比べて世帯数は24.9%増加していることが分かっています。
都市部を中心に、郊外へと住宅開発が広がってきた結果とも言えるでしょう。
なお、これは2015年の国勢調査を基準とした集計であり、その後の国勢調査結果を用いたより新しい集計が公表され次第、数値が更新される可能性がある点にはご留意ください。
この背景には、日本という国土そのものの特性もあります。
国土交通省の資料では、日本は山地が多く、標高500m以下などの居住に適した「可住地」の面積は国土全体のおよそ3割弱にとどまるとされており、平地の多いヨーロッパ諸国と比べて低い水準にあることが紹介されています(算出方法によって数値には幅があります)。
限られた平地に人口や住宅が集中せざるを得ない以上、河川沿いの低地や沖積平野に街が発展してきたのは、ある意味で自然な成り行きなのです。

さいたま市の洪水ハザードマップと備え
さいたま市も例外ではありません。
市内には荒川・入間川・利根川・江戸川・鴨川・鴻沼川・新河岸川・芝川・笹目川・綾瀬川・元荒川・新方川など複数の河川が流れており、市では河川の系統ごとに次の5種類の洪水ハザードマップを作成・公表しています。
- ・荒川・入間川版
- ・利根川・江戸川版
- ・鴨川・鴻沼川・新河岸川版
- ・芝川・笹目川版
- ・綾瀬川・元荒川・新方川版
いずれも、想定し得る最大規模の降雨によって河川が氾濫した場合の浸水想定区域や浸水継続時間、避難場所などを示したものです。
特に荒川沿いの西区・桜区・南区では、荒川が氾濫した場合に浸水が想定される範囲が広く、区外への広域避難があらかじめ想定されているエリアもあります。

こうした事実を並べると不安になってしまうかもしれませんが、お伝えしたいのはその逆です。
「ハザードエリアに該当する土地は特別ではなく、むしろ日本では一般的なこと」だからこそ、避けることよりも、正しく備えることのほうが、ずっと現実的で大切な選択なのです。
また、洪水ハザードマップの色分けの中にも、実はグラデーションがあります。
単純に「浸水が想定される区域」と、堤防決壊時の激しい氾濫流によって家屋の倒壊・流失まで想定される「家屋倒壊等氾濫想定区域」とでは、リスクの度合いも必要な備えも異なります。
同じ「ハザードエリア」という言葉でも、実際には想定される浸水の深さや継続時間、氾濫の勢いによって濃淡があるということも、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。

大切なのは「エリアを避ける」ことより「エリアを知り、備える」こと
ハザードマップで色がついているからといって、その土地に住めないわけでも、危険な暮らしになると決まっているわけでもありません。
想定されている浸水深や浸水継続時間、避難場所までの距離など、具体的な情報を正しく理解し、それに応じた家づくりと暮らし方の準備をすることで、リスクは大きく軽減できます。
土地選びの段階から建物の性能、そして日々の暮らし方まで、それぞれの段階でできる備えがあります。
具体的には、次のような視点が重要になります。
- ・地盤の強さを事前に把握する
地盤調査を行い、必要であれば適切な補強工事を実施したうえで家を建てること。地盤が弱いと、水害だけでなく不同沈下などのリスクにもつながる場合があります。 - ・建物そのものの強さを確保する
構造性能を感覚に頼らず、許容応力度計算という数値的な根拠に基づいて確認すること。災害時に「家族の命を守る場所」であり続けるための土台になります。 - ・浸水を想定した設計上の工夫
基礎の高さの設定や、給排水・電気設備の配置など、浸水想定区域であることを踏まえた設計上の配慮を取り入れること。 - ・避難行動をあらかじめ具体化しておく
想定浸水深や浸水継続時間を踏まえ、「屋内での安全確保(垂直避難)で対応できる場所か」「広域避難が必要な場所か」を事前に把握し、家族で共有しておくこと。 - ・資金計画に保険を組み込む
火災保険・地震保険や水災補償など、万が一に備えた保険の活用も、資金計画の一部として最初から検討しておくと安心につながります。保険の内容や条件は商品や契約時期によって異なるため、個別に確認することをおすすめします。

ハザードマップは「その土地に住んではいけない」というサインではなく、「この土地では、こういう備えが必要ですよ」ということを教えてくれる、いわば取扱説明書のようなものだと私たちは考えています。
パーソナルスタイルが大切にしている「土地と建物、両面からの安心」
私たちパーソナルスタイルでは、土地探しの段階から、地盤調査や法的制限の確認はもちろん、その土地が持つ災害リスクについても事前にお伝えするようにしています。
そのうえで、耐震等級3を全棟の標準仕様とし、許容応力度計算による構造設計、地盤保証30年(条件を満たした場合は延長も可能です)など、「もしも」の際にもご家族を守れる住まいづくりを行っています。

さらに、完成後には見えなくなる部分こそ品質が重要だと考え、自社検査に加えて第三者検査機関による現場検査を実施し、施工の一つひとつを記録として残しています。
土地の特性を理解したうえで、建物としてどう備えるか。
この両輪があってはじめて、「ずっと安心して住み続けられる家」になると考えています。

この記事のまとめ
日本で暮らす以上、ハザードエリアと完全に無縁の土地を探すことは、現実的にはとても難しいことです。
だからこそ大切なのは、「避けること」ではなく、「その土地の特性を正しく理解し、建物と暮らし方の両面でしっかり備えること」だと私たちは考えています。
土地の特性を知ることは、決して不安の種を増やすことではなく、安心して長く暮らすための第一歩です。
※本記事は確認時点(2026年7月初旬から中旬)の公的機関の公表情報等をもとに作成しています。制度の内容やハザードマップの指定状況、保険商品の内容などは今後変更される場合がありますので、実際のご検討にあたっては、各自治体・関係機関の最新情報をあわせてご確認ください。
引用元・参照元
- ・国土交通省「都道府県別の災害リスクエリアに関する分析」
- ・国土交通省「国土の脆弱性 参考資料2」(可住地面積の国際比較)
- ・山梨大学・秦康範准教授ほか「全国ならびに都道府県別の洪水浸水想定区域の人口の推移」(地域安全学会論文集、2020年)
- ・日本経済新聞「浸水想定域に3540万人 河川洪水、20年で世帯24%増」(2018年12月17日)
- ・さいたま市「さいたま市洪水ハザードマップについて」(公式サイト、令和7年1月更新版)
- ・さいたま市「さいたま市内水ハザードマップについて」(令和8年4月23日公開)
- ・埼玉県「洪水ハザードマップ」公式ページ
よくある質問<FAQ>
Q. ハザードエリアに家を建てると、住宅ローンや火災保険に影響はありますか?
A. 住宅ローンの審査可否は、ハザードエリアであることだけで一律に決まるものではなく、金融機関や個別の条件によって取り扱いが異なります。また、火災保険における水災補償の有無や保険料も、建物の所在地やハザードマップ上の想定浸水深などによって条件が変わる場合があります。いずれも契約前に、金融機関・保険会社へ個別にご確認いただくことをおすすめします。
Q. さいたま市は市内全域が浸水想定区域なのですか?
A. いいえ、そうではありません。浸水が想定されているのは、荒川・入間川・利根川・江戸川・鴨川・鴻沼川・新河岸川・芝川・笹目川・綾瀬川・元荒川・新方川など、各河川が氾濫した場合に浸水が及ぶと想定される区域であり、市内には浸水が想定されていない「安全区域」も広く存在します。お住まいや候補地が該当するかどうかは、さいたま市の地図情報サイトなどで住所ごとに確認することができます。
Q. 洪水以外の土砂災害や液状化のリスクも、同じように対策できますか?
A. 土砂災害警戒区域や液状化しやすい地域についても、洪水と同様に、まずは自治体が公表しているハザードマップで該当有無を確認したうえで、地盤調査や構造計画など、その土地の特性に応じた個別の対策を検討することが基本となります。対策の内容や必要性は土地ごとの条件によって異なるため、気になる場合は事前にご相談ください。
パーソナルスタイルの施工エリアについて
パーソナルスタイルは、さいたま市を中心に、川口市・蕨市・越谷市・春日部市・上尾市・北本市・八潮市 他、事務所から車で1時間圏内のエリアを主な施工エリアとしております。
上記エリア以外にお住まいの方、またはお建てになりたいエリアが異なる場合も、まずは一度お気軽にご相談ください。
ご相談・お問い合わせについて
「この土地、ハザードマップで色がついていたけれど大丈夫なのだろうか」「うちの候補地はどんな備えが必要なのだろう」——そんな疑問やご不安をお持ちの方は、ぜひ一度、私たちにお聞かせください。
土地探しから資金計画、建物の性能まで、皆様の状況に合わせて丁寧にご説明いたします。
個別相談や家づくり勉強会も随時開催しておりますので、まずはお気軽にご参加いただければと思います。






